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マスコミ掲載紹介:「保険者連携プログラム」(じほう Pharmacy NewsBreak)



健康支援で薬局と被保険者を「マッチング」
薬経連系機関が総医研と来春から、新たな収益源に


[じほう Pharmacy News Break 11月28日 4:30 ]

 中小薬局でつくる保険薬局経営者連合会(薬経連)を母体とするシンク タンクの薬事政策研究所(薬研)は、健康増進事業などを展開する総合医科学研究所(総医研)と業務提携し、 来年4月から「薬局版データヘルス事業」を始める。

参加した健康保険組合などの加入者らの中から健康増進のための支援が必要な対象者を選定し、居住地近くの薬局とマッチング。該当する薬局で健康づくりのための支援を行う。薬局の経営環境が悪化する中で、新たな収益源の確保や新規顧客の掘り起こし、地域での健康情報拠点としての地盤確立につなげたい考えで、今後、全国から参加薬局を広く募る。

 データヘルス事業は、保険者が保有するレセプトデータなどの分析を通じて加入者の健康保持につなげる保健事業。 まず、総医研が事業への参加を健保など保険者に提案。参加保険者はレセプトや健診データに基づき加入者や被扶養者の中から、服薬中の患者や前期高齢者、健診の未受診者など健康支援が必要な対象者を抽出し、薬局で服薬指導や健康に関する助言などを受けるよう勧奨する。

●居住地や職場に近い薬局を検索

 一方の薬研は、あらかじめ登録した同事業への参加薬局の中から、保険者が抽出した対象者の居住地や職場に近い店舗を検索し、対象者と薬局をマッチング。その薬局で健康づくりのための支援を行う。薬局には保険者が報酬を支払う仕組みで、薬局側には参加費や年会費などの費用は発生しない。
 薬研がデータヘルス事業に乗り出す背景には、国が進める医療費抑制策や健康寿命延伸など薬局を取り巻く環境が大きく変化していることがある。こうした中で、薬局では調剤報酬以外の新たな収益源の確保や新規顧客の開拓、地域の健康情報拠点としての役割を果たすための基盤づくりなどが求められている。一方、保険者は医療費抑制のため、加入者の健康づくり支援が大きな課題になっている。

 これまで保険者は健康増進が必要な加入者や被扶養者を対象にウオーキング大会や健康教室の開催、保健師の自宅への派遣などを実施してきた。薬研はこうした活動に加え、新たな事業では薬の専門家である薬剤師が関与したり、医療機関よりも敷居が低く身近な薬局を活用したりすることで継続的な健康増進支援活動ができると判断。保険者との連携によるデータヘルス事業に乗り出すことを決めた。

 薬研と総医研は来年4月からの事業開始に向け、6月から7月にかけて日本航空健康保険組合と実証実験を実施。薬経連に加盟する薬局など4店舗で13人に対し、健康増進のための支援を行っている。

●来年1月から参加薬局の登録開始

 同事業には既に薬経連に加盟する320店舗に加え、日本薬局協励会が参加を決めており、今後、協励会は会員に参加を呼び掛けていく計画だ。薬研は来年1月に、オンラインで事業への参加登録ができるウェブサイトの稼働を開始。全国から参加薬局を募る。同時に、どの薬局でも同じレベルの支援ができるようにするため、薬局向けの研修会も開催する予定だ。

 総医研は保険者に事業への参加を提案していく計画で、すでに10の健保に参加を働き掛けている。国は健康づくりや医療費の抑制を目的に、国保や健保に今年度内のデータヘルス計画作成を促しており、その計画の中に同事業を組み込んでもらう考えだ。同事業には後発医薬品企業の共和薬品工業も協力。同社のMRが事業への問い合わせなどに対応するほか、取引先の薬局に同事業を紹介するなど参加薬局の拡大にも協力する。

 薬研は薬経連とその会員の出資で昨年10月に設立されたシンクタンクで、薬事政策に関する政策提言や薬局経営者を支援するための事業を展開している。一方、総医研は大阪大医学部発のバイオベンチャーとして発足。事業の一つとして健保が実施する加入者、被扶養者向け健康増進事業の支援などヘルスケアサポート事業を展開している。